Menu
Culture

芸術の異端児・バンクシーの魅力

コロナ禍にも関わらず、日本初のバンクシー展が人気というニュースが耳に飛び込んできました。 2019年、東京で突如発見されたネズミのストリートアート。日本でも徐々に知名度があがってきているバンクシーですが、彼は今や世界中で最も人気のあるアーティストの一人と言っても過言ではありません。イギリスの地方都市ブリストル出身の覆面アーティスト・バンクシーですが、彼の作品はなぜ世界中の注目を集めるのでしょうか?

バンクシーは、皮肉やブラックユーモアを込めた風刺的なストリートアートで知られています。壁の持ち主に許可なく絵を描くことは、一般的にヴァンダリズムと呼ばれ、器物損壊の罪に問われてもおかしくない行為なのですが、バンクシーのアートの面白いところは、違法行為とみなされているストリートアートをベースにしながら、描かれる絵にはいつも社会的なメッセージが込められている点です。バンクシーは誰もが目にすることのできるストリートアートの利点を生かし、 今、人々が世界的に直面する社会問題、政治的、そして人道的な視点から独特のメッセージを発信し続けています。そんなバンクシーの社会活動家的な行動にカリスマ性があることには間違いありません。

一夜のうちにゲリラ的に突如現れるバンクシーのストリートアートは、昨今では新聞各社が「Banksied!(バンクシーにやられた!)」という表現を生み出すほど、イギリスでは一般的に知られています。

バンクシーのアートにおける最大の論点は、壁に描かれた絵の所有権が誰にあるか、という事だと言われています。 法律上は、壁は建物の所有者のものですが、知的財産としての絵の著作権は常にバンクシーにあると考えられています。そんな最中、壁の所有者が切り取った壁をオークションに出し、一攫千金を得たというケースが報じられれるようになりました。そこに目を付けたバンクシー。今度は、資金が必要な場所を選んで意図的に絵を描くようになりました。地元ブリストルのユースクラブが資金難で閉鎖の危機に面していることを知ったバンクシーは、クラブの壁に絵を描き、その後、クラブは絵を売却し、その利益で閉鎖の危機から逃れることができた、という心温まるエピソードはよく知られています。

とにかく世間をびっくりさせることが好きで話題の尽きないバンクシーなのですが、冒頭に覆面アーティストと書いた通り、彼の正体は明らかになっていません。ある評論家は、バンクシーが表舞台に出て来ない理由として、アーティスト自体がセレブ化し作品本来の価値に焦点が置かれなくなっている実態にバンクシーが疑問を抱いているため、と分析しています。また、アーティストの名声やブランド力に左右されることなく良いものは良いと評価されるべきという、バンクシーの作品の「自由」を大事にしたい切実な思いの表れだとも言われています。このミステリアスさもまた、もっとバンクシーを知りたくなってしまう彼の魅力の一つなのでしょう。

最近では、高額で競り落とされたバンクシーの絵がその場でシュレッダーにかかるというバンクシー劇場もお披露目されました。誰もが、「Banksied!」と思ったことでしょう。この一件は、 お金で買えるもの儚さを世に訴え、人が欲しいものをどこまで所有できるのかという問題提起、衝撃的なメッセージが込められていました。

これからも、芸術の異端児、バンクシーの活動から目が離せません!